10月15日付で、こんなニュースが流れていますが、ひどい記事です。
IAC論文の中には、そのような書き方はされていません。計算結果の一部が独り歩きしているような感じです。MITのこの研究グループとは知り合いですが、このニュースに書かれているようなことを意図していないと思います。

Humans may only survive 68 days on Mars
人は火星で68日間の命、米研究 (AFP BB NEWSの$4.5billionの翻訳が一桁間違っています)

一方で、この前提条件で計算すれば、66日で窒素が無くなり、システムが破たんするのは当然の結論です。

1.植物が光合成により二酸化炭素を酸素に変える。
2.人間が食物を食べて、呼吸により酸素を二酸化炭素に変える。(二酸化炭素を除去する技術はすでにある)
3.植物のうち食べられない部分(非可食部)を処理して無機物に変える。(このとき酸素を消費し、全体のバランスが取れる)

MITのモデルには非可食部を処理するプロセスがないので、人間が必要とする食料を全部現地で生産すれば、当然酸素は余ります。この余剰な酸素をベントするときに、一緒にベントされ減った窒素を注入する。すると窒素が66日で無くなる。(宇宙で空気から酸素のみを分離してベントする技術がないと論文には書かれています。地上の技術ではすでにあり、日本の実験では利用していました。)

だから、きちんと非可食部の処理プロセスを入れてあげれば、少なくともこんな短期間では破たんしません。(また別の問題が発生したりはしますが・・・)

この論文、この後にある信頼性を考えた上でのスペアパーツの計算が面白いと思うのですが、マスコミは、ここには注目しませんでした。

この米国の元の記事の報道の仕方は、以前2014年6月18日の記事で紹介した「国際宇宙ステーション・国際宇宙探査小委員会」のニュースと構図は同じです。一般の人が注目しそうな文脈の一部だけを抜き出して報道する。(文脈完全カット報道


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