第3回iNurse研究会 2017年1月21日(土)秋葉原コンベンションホール に参加してきました。特別講演会(ランチョンセミナー)では、航空機の自動化と安全性の話がありました。医療とどのような関係があるのでしょうか。以下、簡単に報告します。

使用事例報告:バイタル記録システム
11:10-11:35 スポットチェックモニタ導入における業務の効率化と質の高い看護の提供
11:35-12:00 スポットチェックモニタと身長体重の導入による病棟業務の変化
12:00-12:25 スポットチェックモニタ導入による効果と課題

特別講演
12:35-13:20 航空機における自動化と安全への挑戦 ~進化を続ける航空業界の試み 東北大学大学院工学研究科 狩川大輔
教育講演
13:20-14:05 多職種協働とIoT時代における看護職の役割 ~看護がサバイブするには 千葉県千葉リハビリテーションセンター看護局 荒木暁子

フィーチャリングセッション
14:20-14:30 オープニングリマークス 東京医療保健大学医療保健学部医療情報学科 瀬戸僚馬
14:30-15:20 パネルディスカッション ~新しい安全看護支援システムを通して考える



ざっくりセミナーの内容をまとめると
医療現場に新しいシステムを導入すると、業務量は減るのか? 安全性は向上するのか? だったと思います。

・ 新しいシステムが導入されると、その使い方を覚えるのに時間がかかり、日常業務に忙殺される中、そのメリットが早期に理解されないと、次第に使われなくなる。
・ 新しいシステムについて全体の仕組みを理解していないと、安全性の向上に寄与しない場合がある。

例えば、電子カルテが導入され、H26年度の業務量調査では時間外業務の41%を看護記録が占めていた。ベットサイドでは電子カルテへのバイタルサイン(体温、血圧など)などの入力により、患者とのコミュニケーションがおろそかになっている。
スポットチェックモニターを導入することで、電子カルテへのバイタルサインの入力を自動化し、業務量を軽減できる。
今までのような手入力の場合入力作業が数時間後になり、体温や血圧などのデータが電子カルテにすぐに反映されない。また入力ミスが発生する場合もある。

業務量を減らし、作業ミスを減らし、本来の業務(患者のケア)に時間を割くことができるという趣旨の発表が3件ありました。

ランチョンセミナーでは、東北大学の狩川先生の「航空機における自動化と安全への挑戦 ~進化を続ける航空業界の試み」の発表がありました。

医療と航空機の自動化と安全にどのような関わりがあるのか、聴衆は興味があったと思います。
私は航空宇宙工学が専門なんですが、航空や宇宙分野の知見を、医療情報や医療安全に応用できることは非常に多いと思っています。今回、このセミナーで紹介のあった航空機事故の事例は、私も授業で紹介しています。

航空機の自動化が進んでも事故率は下がっていない。
・ ハイテクコクピットの中でいったい何が起こっていたのか?
・ 過度の自動化は、必ずしも安全性を向上しない。
・ 操縦の自動化により操縦者は(自動操縦装置の)監督者となったが、自動化したコンピュータの仕組みを必ず理解しているわけではない。

事例1
1995年12月20日 アメリカン航空965便墜落事故
コロンビア・カリ近郊の山に衝突 (コンピュータへの入力ミス(プログラムの問題も含む)、自動操縦装置への依存、急なコース変更など)
※入力ミスやプログラムミスについて詳細は書きませんでした。他の文献を参考にしてください。

大規模で複雑なシステムは相互作用がある。1つ1つの小さなミスが積み重なると・・・
個々で合理的な判断でも、全体で失敗する場合もある。
自動化された機械は、言われたとおりにしかやらない。誰かが決定的に危険な行為をしていなくても、結果的に破滅的な結果につながることもある。

事例2
2009年6月1日 エールフランス447便墜落事故
対気速度計が凍結で作動せず、自動操縦が解除。(ベテラン操縦士は直前にコクピットを離れている)副操縦士が機首を上げすぎて失速し、副操縦士が操縦桿を引き続けたため、機首下げによる速度回復ができず海面に墜落した。 ・・・ そのまま飛行すべきだった。

・ 自動化により航空機がどのように飛ぶのかを知らない。スキルの低下。
・ 自動化により新たなヒューマンエラーの出現、人間の役割への再注目
・ 自動化された機械を扱う人に対応した新たな訓練方法が必要。安全を支えるのは人である。

以上のような話でした。航空機事故を、医療事故と置き換えてもよい話だったと思います。

・ (自動化された)新しいシステムの導入は、必ずしも安全性の向上につながらない。
・ 使う人が、新しいシステムの仕組みを理解していないと、正しい使い方がされない場合がある。
・ 相互作用のあるシステムでは、1つ1つの小さなミスが大きな事故を招く場合がある。
・ (自動化された)新しいシステムを導入する場合には、その新しい環境にふさわしい訓練の方法を考える必要がある。

思いがけず襲ってくる危険に、限られたリソースで対応しなければならない。負けてはいけない。
ヒヤリハットよりもっと危険なことがある。

狩川先生のお話には、医療にも応用できる知見が多くあったと思います。

14:30の最後のセッションでは、(まだ試作段階の)離床センサーを題材にしたパネルディスカッションがありました。


 
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宮嶋宏行, 宇宙で生きる宇宙居住と医療, 織姫公民館開館60年周年記念・織姫大学, 2016年6月15日.

Hiroyuki Miyajima, Overview of Modeling and Simulation for Regenerative Life Support Systems, マサチューセッツ工科大学AEROASTROセミナー, 2013年11月.

宮嶋宏行, 有人宇宙システム開発における大学の教育・研究事例, 有人ロケット研究会定例会, 2012年6月.

宮嶋宏行, 生命維持システム研究の歴史と生態工学会の20年 -3000件の文献調査から見える日米欧ロの研究と中国の躍進-, 2011年度生態工学会第1回定例研究会, 2011年5月.

宮嶋宏行, mオペレータを導入した逐次ファジィ線形計画法と閉鎖生態系生命維持システムの最適運用, 日本計算工学会ソフトコンピューティング分科会, 2000年12月.

CELSS簡易設計支援プログラムの開発~OLE機能を用いたWITNESSの利用事例~, CRC総合研究所(伊藤忠テクノソリューションズ株式会社)WITNESSユーザミーティング, 1996年11月.

 

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