国際的な研究チームに入り、プロジェクトが終わった後に、なんとなく誰かがFacebookやmessengerを利用した情報交換の場を作ります。やり取りはすべて英語で行われるので、私自身はあまり発言しませんが、かなり役に立っていると思うことがあります。

海外の研究者が何に興味を持っていて、どんなことが話題になっているのかが、掴めることです。英語で発信されるニュースや論文をすべてななめ読みしたりはできません。専門家が、likeと教えてくれるだけでかなり役に立ちます。

火星の専門家にとって6月の話題の1つは、2015年10月にヒューストンで行われる月惑星協会のワークショップFirst Landing Site/Exploration Zone Workshop for Human Missionsのようです。ここでどんな議論がなされるのでしょうか・・・

NASAのアナウンスメントへのリンク

以下は、USRAへのリンク画像です。



 
2015年6月27日(土)~28日(日)  明治大学黒川農場で2015生態工学会年次大会が開催されます。

私の発表は、2日目の13:30からです。
NASA Design Reference Mission (DRM) 5 から MarsOne まで有人火星探査ミッションのシステム分析をInitial Masses in Low Earth Orbit (IMLEO)を指標にして行います。

セッション 4 [宇宙開発・物質循環] 座長 中根昌克(日大)
13:00-13:15 有人宇宙探査を目指した空気再生装置
〇桜井誠人 (JAXA)
13:15-13:30 日本の将来ECLSS システムを想定したシミュレーション
○寺尾卓真(日大院)、桜井誠人(JAXA)、森山枝里子、
広崎朋史(宇宙システム開発株式会社)
13:30-13:45 有人火星ミッション設計のための生命維持システムのパラメトリック解析
○宮嶋宏行(東京女学館大)

 
5月23日の記事の続きです。

結局、InterFoamに温度場を加える改造ではなく、熱輸送と浮力駆動流れbuoyantBoussinesqPimpleFoam(浮力を伴う非圧縮性乱流用非定常ソルバ)を利用して、円筒表面に温度差がありz軸周りに回転している円筒内の空気の風速、温度、発生物質の拡散を解くことにしました。

そのために、buoyantBoussinesqPimpleFoamに発生物質の拡散を解く改造を行いました。
改造内容は異なりますが、改造に際しては「実践ソルバー改良① scalarTransportFoamの改良事例 柴田貴裕」を参考にしました。

また、境界条件を時間によって変更するために、swak4Foam(funkySetFields, groovyBC)を利用しました。インストールに関しては、
swak4Foam(funkySetFields, groovyBC)のインストール勉強会@関西幹事 冨原 大介 ~関数による境界条件の設定~
を参考にしました。

swak4Foamのインストールでは大変苦労しました。Ubuntu14.04 LTSの場合、パッケージを利用したインストールではbison3.xがインストールされます。swak4Foamのインストールではbison2.7.1以下が必要です。Ubuntuのパッケージサイトを利用したり、コマンドラインから古いバージョンbison2.7.1を指定しても完全にはインストールできませんでした。結局、ソースコードからコンパイルしてインストールする方法で、swak4Foamのコンパイルとインストールに辿り着きました(コンパイルに数十分かかりました)。

現在、groovyBCを利用して、温度と発生物質の境界条件に、時間で変化する関数を設定しています。

今後は、設定値などを再確認し、求める計算精度が達成できているかどうかを確認していきます。

20150608-1.png
OpenFoamで作成した半径3.2km、長さ30kmのIsland Threeの熱流体解析モデル(画像はparaViewのスナップショット)

20150608-2.png
Island Three内部表面の温度、赤いところが居住区域、青いところが窓、奥の青い円は太陽とは逆側の壁


Island Threeの画像へのリンク
 
2015年5月28日-30日に米国ユタ州のハンクスビルの火星砂漠研究基地で大学ローバチャレンジが開催されました。

最終的に23チームが出場し(最初のエントリーは44チーム)、ポーランドのLegendary Rover Team (Rzeszow University of Technology)が460ポイント(満点は500ポイント)で優勝しました。

このコンテストでは、サンプルリターンタスク、アストロノート支援タスク、設備サービスタスク、障害物横断タスク、プレゼンテーションタスクの5項目について、それぞれ100ポイントの合計500ポイントで評価されます。

技術的な要求事項が事前に示され、いくつかの項目については制限を超えると減点されます。例えば重量には50kgの制限があり、1kg超過するごとに獲得ポイントの5%が減点されます。またタスクごとに装備する装置を含めた重量は70kgに制限されています。予算は15,000ドル以内に抑える必要があり、領収書の添付も求められます。

技術的な要求事項が文書で細かく指定されています。動画で確認した一部のタスクを紹介します。
1. サンプルリターンタスク 位置、高度、範囲を示され、サンプルを回収し、その場でpHや湿度を計測する。
2. アストロノート支援タスク 工具ボックスや工具を運び、アームを利用して展開したり、収納したりする。
3 .設備サービスタスク バルブやポンプをアームを利用して操作する。
4. 障害物横断タスク 険しい地形(高低差0.5m、傾斜60度)の指定された複数のポイントを通過する。(ここでEVAしたので、この地形の険しさはよくわかります)
5. プレゼンテーションタスク 技術的な要求項目について、英語で15分間のプレゼンビデオを作成する。

Youtubeで2014年の動画を確認すると、日本で行っている研究開発とは、少し方向性が違い圧倒されます。




2014年8月ヒューストンで、火星協会の会長から、日本のチームもこのコンテストに出てほしいと言われましたが、少しハードルが高い気がします。何年もかけて経験を積んでいかないと上位になるのは難しい気がします。



 

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