過去5年ほど地表面探査の模擬実験や計算機シミュレーションを行ってきました。
2014年に米国ユタ州の砂漠研究基地で惑星表面探査の模擬実験を行い感じたことは。
ローバは視界が限られ、もう少し高い位置から観測できたら良いのにと思ったことが何回もありました。
空からの観測と組み合わせれば、ローバの移動をより安全に、無駄なくできます。
最近、NASA JPLのマーズヘリコプターの記事を見つけました。
この中の動画は、私が実際の模擬実験で気が付いたことを、うまく説明しています。


上記ページへのリンク画像

高さ1m、質量1kg、ただし火星の大気密度を考えると、ヘリコプターが良いのかどうかはわかりません。
他には、火星航空機、火星気球などを研究しているグループもあります。

2014年の宇宙科学技術連合講演会の火星探査航空機のセッションに、1B04画像処理と測位信号による火星飛行機の自己位置推定 ○ 井上 博夏, 新井 健太郎, 高村 英雅, 小野 雅裕, 足立 修一(慶大) のような発表もありました。

海外の研究グループだと、ドローンを飛ばして、火星地表面探査における上空からの観測の研究をしているところもあります。

最近、安いカメラ付きのクアドロコプターを買って操縦していますが、ホバリングさせるだけでもトリム調整が難しい。その場観測、画像解析、経路探索まで到達するまでには、まだまだ時間がかかりそうです。





 
1月6日は、まだ冬休みだったこともあり、JAXA宇宙科学研究所相模原キャンパスには、たくさんの子供たちが来ていました。

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入口横の展示コーナです。はやぶさ

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気球(私は惑星気球に興味があり、この写真を撮りました)

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口頭発表の会場、常に満席でした。他にポスター展示が300件ほどありました。

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はやぶさの帰還の時に、この場所で中継を見ていましたが、この展示はまだなかったような。

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このキャンパスに来たら一番体験したほうがいいものはこれです。帰還カプセルを実際に持ち上げてみることができます。
小さいのに、かなり重いです。子供は持ち上げられるのかな?

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私のポスター展示

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ポスター展示会場

第一日目の最後には、太陽系探査に関するパネルディスカッションがありました。
だいたい、パネルディスカッションは、つまらないものですが、この企画はかなり盛り上がっていました。
その内容は、いずれ・・・

 
昨年11月に、小学1年生が企画したパラシュート松ぼっくり投げイベントに参加しました。(秋の松ぼっくり、どんぐりを使ったイベント)

パラシュート松ぼっくりは、松ぼっくりに紙で作成したパラシュートをつけた簡単なものでした。これを体育館のステージ上の台の上から投げて、できるだけ遠くまで飛ばそうというゲームです。

空気抵抗がなければ、45度に打ち上げるほうがいいのですが、今回はパラシュートがついているので空気抵抗がものすごく大きくなります。何回か投げているうちに、上方に角度をつけて打ち上げることには意味がないことがわかってきます。

打上角度をどれくらいにしたほうがよいのか計算で求めてみたいとずっと思っていました。
 ・Excelで学ぶ基礎物理学 Ohmsha の3.4 ホームランを打つには -空気抵抗のある放物運動-
 ・ke!+san 生活や実務に役立つ計算サイト 空気抵抗のある自由落下
を参考にシミュレーションしてみました。計算式の詳細は、上記の書籍を見てください。

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打上角度を何度にしたら到達距離が最大になるのか?
計算の前に必要な数字を決めなければなりません。(正確にはわからないので推測していきます)

 初速:小学生3年女子のソフトボール投げ平均11mから37km/hと逆算する
 空気抵抗係数:スカイダイビングの計算で使われる0.24を利用(実際にはもっと大きいかも)
 パラシュートつき松ぼっくりの直径:0.05m(5cm)と仮定
 パラシュートつき松ぼっくりの質量:0.05kg(50g)と仮定
 台の高さ:3mと仮定

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(散布図で描画しているため、まっすぐ落下していないような箇所がグラフにありますが、数値計算上はこのような現象はありません。30度、0度も同様です。)
打上角度:45度

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打上角度:30度

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打上角度:0度

各パラメータを実験によって求めたわけではありませんが、実際のイベントの結果に近いと思います。
 角度をつけると1.5mぐらい
 角度をつけないと2mぐらい

途中からパラシュートが開かないように投げるコツを覚えて、実際には3mぐらい飛んでいる小学生もいました。




 
12月頃に読んだ本を紹介します。
この書籍、中村修二さんのファンの記者が書いた記事が再構成されてまとめられています。記者自身、偏りがあるかもしれないと言っています。だから面白い?

記事の中で、私が今まで知らなかったことは、
「中村修二さん自身は、青色LEDが開発ができるとは思っていなかった。開発するつもりもなかった。」
「いいデータが取れれば、(青色LEDは開発できなくても)論文ぐらいは書けるかな」程度ぐらいにしか最初は思っていなかったことです。
じゃ、なぜ約3年という短期間で開発できたのか?
それまでの仕事で蓄積してきた自分で装置を開発するという経験や、(本人も言っているように)怒りが大きな役割を果たしたと書かれています。詳細は・・・

中村修二劇場中村修二劇場
(2014/11/18)
日経BP社 特別編集班

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次は昨年の10月頃に読んだ書籍です。
NASAには全米に研究センターが複数あります。各センターにはもともとの設立理由や設立母体があり、お互いは競争相手で、長年、同じ分野で予算を取り合ってきた様子がわかります。

有人宇宙分野でも、私は長年不思議に思ってきたことがあります。
例えば、国際宇宙ステーション計画では複数のセンターが開発を分担していますが、そのようになった経緯が、150ページから「政治化したセンター間の業務分担」の前後を読めばわかります。

また、63ページ「月着陸方式-3つの候補」では、直接上昇方式、地球軌道ランデブー(EOR)、月軌道ランデブー(LOR)の3つの方式があり、EORより効率的だがリスクの高いLOR方式になるまでの経緯が書かれています。
(LORでは月周回軌道に宇宙船の一部をとどめることにより燃料を節約でき、サターンV1回の打ち上げで実施できるという利点がある)

他にも面白い具体例がたくさんありますので、続きは・・・

NASA ―宇宙開発の60年 (中公新書)NASA ―宇宙開発の60年 (中公新書)
(2014/06/24)
佐藤 靖

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1月6日(火)、7日(水)宇宙航空研究開発機構宇宙科学研究所相模原キャンパスで開催される
第15回宇宙科学シンポジウムのポスターセッションで発表します。
ポスターの位置は、火星探査に関する発表が集まっているP-206(会場:新A棟2FA会議室内)になります。

P-206 有人火星探査のための惑星表面移動探査実験の成果と課題
宮嶋宏行(東京女学館大)、安濃由紀、村川恭介(日本火星協会)、日本火星協会Team Nippon

 
2014年12月29日午後 火星砂漠研究基地(MDRS)の温室で火災があったようです。

Crew146のコマンダーNickは、私が所属していたCrew132のコマンダーで、GreenHab(温室)の責任者です。Crew132のメンバーは、メッセンジャーで今でも情報交換をしてるのですが、12月31日(日本時間)に火事大丈夫?という書き込みがありました。そのときはよく意味がわかりませんでしたが、12月31日のプレスリリースだと、火災で温室が被害を受けたようです。

このニュースに過去のGreenHabの歴史が簡単に紹介されています。
・ 温室第一世代 初年度に強風により破壊 (ユタ州の砂漠は時々すごい強風があります)
・ 温室第二世代 5年間にわたり水再生と食料生産を行うが、6人分の食料を供給するには設備が小さすぎることがわかり実験停止(においもすごかったらしい)。3年間くらい休止していたものを2013年から再起動したと聞きました。・・・今回の火災で被害

植物を利用して食料生産し、人間に供給するためには、とんでもない容積、エネルギー、労力が必要です。温室で食料生産しようというのが時代遅れなんだと思います。しかもネズミの被害が多発し、衛生的にもかなり問題があります。

今回の事例からもわかるように、居住実験では想像しているよりも事故が起こります。もし居住棟が火災になった場合には、1つ壊せる窓があって、そこには避難ばしごが備えられています。

コマンダーになると、「事故を起こさないように」、それだけが頭の中にあります。

 

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