私がMDRSの居住実験Crew132に参加していたとき、メンバーの一人が読んでいた書籍を紹介します。
居住実験に参加するようなメンバーの中には、将来はNASAの宇宙飛行士になりたいと考えている人もいます。
普段、このような本を読んでいるんですね。

Erick Seedhouse, PREPARE FOR LAUNCH: The Astronaut Training Process, Springer

NASAの宇宙飛行士の選抜、トレーニングについて打ち上げに至るまで書かれています。
Ares I, Ares V, Orion, Altairなど比較的最近のロケット、宇宙船の話題にも触れています。

Prepare for Launch: The Astronaut Training Process (Springer Praxis Books / Space Exploration)Prepare for Launch: The Astronaut Training Process (Springer Praxis Books / Space Exploration)
(2010/04)
Erik Seedhouse

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1月3日(金)最終日は、報告書および引継ぎ書類を作成しました。
全体のものは、火星協会から会員に配布されるのだと思います。
私の担当部分のみ、掲載します(許可は取っていません)。
この経験を Crew137 Team Nippon につなげることができればと思います。

成果は、
・居住実験に関わるロジスティクスデータを収集できたこと
・惑星表面EVAについて想定以上の経験を積むことができたこと

ここには書きませんでしたが、地質学、宇宙生物学を専門とするサイエンス側の人と共同で惑星表面探査のシミュレーションができたことが良い経験になりました。


Crew132最終報告書(一部抜粋)  ― 申し訳ありませんが、ブラウザーでは改行位置が適切ではないため読みにくいかもしれません。

During Crew 132, Engineer Miyajima conducted preliminary research regarding the habitation and logistics of Extra-vehicular Activity (EVA) and Intra-vehicular Activity (IVA) for the Crew 137. He summarized the research regarding the habitation and logistics, and high mobility exploration. Regarding habitation and logistics, the amount of the supply and consumption such as daily water consumption, propane gas consumption, and gasoline consumption, food consumption, and waste production for the crewmember’s daily life were recorded. It was difficult to manage the water consumption. An average of 370 liters water was consumed per day by seven crewmembers, which was twice amount of water compare to the previous crew. For example, Crew 132 had to wipe dishes with a paper napkin to save water. It is necessary to study cooking methods to be able to save water. Showers were also kept to a minimum, and the crew soon stop noticing any smell.
Regarding high mobility exploration, Engineer Miyajima obtained data for logistics and life support system analysis for high-mobility exploration on a planetary surface based on the EVA parameters and constraints that were defined by the Haughton-Mars (HM) Project which was conducted by the MIT group in 2006. In the HM project, the minimum parameters that defined a planetary EVA were path and schedule (time). Each parameter and constraint was further subdivided into more precise information. The parameter consists of goals of excursion, estimated total time, people on excursion, sites to be visited, mobility used, terrain characteristics and environmental characteristics. The constraints consist of communication, type of mobility and safety constraints. Miyajima found that terrain characteristics factor more than he assumed before the EVA at MDRS. He will modify the parameters of his simulation model for a high mobility exploration on planetary surface and confirm them in his rotation on Crew 137.


 
1月3日がCrew132の研究ミッション最終日で、明日はCrew133との引継ぎです。
メンバー全員最終報告書の作成に追われています。
午前中に、ブレーンストーミングを行いましたが、なかなかいい報告書ができるのではないでしょうか。この情報は、世界中の会員7000人以上に配布されるようです。

参加してみてわかったことは、研究だけではなく、課された日常業務が大変だということです。無線通信式のミッションサポート会議2時間(毎日)、写真投稿(毎日)動画投稿(2回)、最終報告書(1回)があり、雑用も結構大変です。しかもこれを英語でやらなければならないので、3月のCrew137(Team Nippon)にとってはかなりの負担になると思います。

今まで提出した書類
 ローテーション前
  ・応募用紙、履歴書(9ページ)
  ・事前研究計画書(25ページ、実際に書くのは該当する研究分野のみ、私の場合6ページ程度)
  ・研究計画書フルバージョン(6ページ)
 ローテーション中
  ・経歴、写真(1ページ程度)
  ・日々のエンジニアリングレポート、不具合がある時は、細かい報告が必要(フォーマット有)。
  ・(実施するときは)EVA事前計画書、事後報告書(1~2ページ程度、内容による)
  ・エンジニアリング引継ぎレポート(4ページ)
  ・最終レポート(私の担当部分は1ページ)

たくさん英文書類を提出必要がありました。実際参加してみて、このくらい英語で考えて事前準備しないと、英語を母国語としないクルーはついていけないということを改めて認識しました。

知らない業務を英語で遂行することの難しさを実感しました。

8月から米国に滞在していましたが、結局、英語には全く慣れませんでした。
この業務を終えると、やっと日本に帰ることができます!

19時からミッションサーポートチームとの最後のcomスタートです。

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窓からの朝日、小高い丘があってなかなかいい景色です。

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窓に置かれたサボテン


 
今日はこのローテーション最後のEVAを行いました。
最初に3名のクルー(宇宙生物学者など)が徒歩で探査に出発し、90分経過後、緊急の応援を要請するというシナリオでした。HabのCapComが応援要請を受けて、Habで地図を見ながら応援要請があった地点を確認します。その後、スペーススーツを着てエアーロックに入り、2名のクルーがATVを用いて3名が待機している地点まで急行しました。
無線の不具合(これは結構今までもあり得るパターン)、ATV同士の連絡の不備、GPSの追加装備など、いくつか教訓を得られました。

1-2kmの遠征でも、これだけ体力を消耗し、機器の不具合、ナビゲーション、クルー同士の連携に課題があることがわかりました。3月のTeam Nipponのときは、5-10kmの遠征を考えたいと思いますが、遠征メンバーが、かなり機器とその運用に熟練してからでないと難しいと思っています。8週間準備期間があるのでじっくりと計画を練りたいと思います。

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無線で応援要請のあった地点を地図で確認しています。

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今日は天気も良く、最高気温は0度を超えています。

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応援要請地点に到着

 
明日実施予定のEVAで、提案していたレスキューシミュレーション計画が採用されました。
前回却下された夜間EVAも含め、今回の提案も許可されるまで大変でした。他のメンバーがかなり助けてくれました。
私が提案するプランは、安全上の理由からことごとく、ミッションサポートメンバーには引っかかるようです。
どうして今までやってなかったのと思ったりもしますが。

今日は以前から調子の悪かったATV No.4の具合をCrew Engineerとしてチェックしました。ギアーをニュートラルからドライブやバックに切り替えるととエンジンが止まってしまうというトラブルがずっと続いていました。
調査結果は、異常なしでした。
エンジンが止まってしまう理由は、操作が難しいからです。
ATV No.1-3は右にスロットル、左にギアがありますが、No.4はスロットル、ギアともに右にあります。つまり同時に右手でスロットルとギアを操作する必要があります。実質、左手を右に持っていくしかありません。
このATVはYAMAHA製です。YAMAHAさん、なぜこんな使い勝手の悪い、ATVを設計したのでしょう。


さて次は、閉鎖空間と快適性についての話です。
みなさん、都市から遠く離れた閉鎖空間の中で、男女7人が居住したら、ものすごくストレスを感じるのではないか、と思われるでしょう。
ところが、思っていたほど、ストレスを感じていません。
理由はいくつかありますが、簡単に紹介します。

☆ 居住空間がある程度広いから
実は、居住空間がある程度広いとあまりストレスを感じません。しかも寝室は個室です。
ミッション期間と居住空間の体積の関係を示したCelentano Curveというものいがありますが、体積がある程度大きくなると、思っていたほどはストレスを感じません。(同じことをバイオスフィア2に行った時も思いました)
そして個室はありますが、個室に閉じこもる人は誰もいません。

☆ 適度な騒音
Habの中は空調機器の音がある程度うるさい、特に寝室は夜中に何度も目が覚めます。この適度な騒音が、意外にリラックスさせてくれます。静かな部屋に他人とずっといたらストレスたまりますよね。

☆ 水の使用が制限されていること
これは意外にすぐに慣れました。食器は1日1回しか洗いません。シャワーは2分程度を5日間で1回です。

☆ 窓の存在
Habにはたくさんの窓があります。2階の大部屋で4つ(大きな窓2つ、小さな窓2)、1階の実験室で4つぐらいあります。
しかし、私個人としては、閉鎖試験としては、この施設は窓が多すぎると思います。宇宙居住施設で窓を作ることは、構造重量の増加という問題があるので、あまり好まれません。

☆ 米国流のリーダシップとフォローワーシップ
私を除いた他の6人は、英語を母国語とし米国で生まれ育ったメンバーです。米国人の一部は小さい時から、いろんな形で米国流のリーダシップ教育を受けているので、個々を尊重しながら、グループのパフォーマンスを最大限に発揮するスキルを持っている人がいます。このような方は、専門外の教養もかなりあると思います。また他のメンバーはいい意味でフォロワーに徹します。細かい指示をリーダーが出さなくても、全体としてうまく機能している気がします。
日本人の集団だったらこうはいかないだろうと思います。そんな訓練うけてもいないですし。

☆ みんなおしゃべり
女性がおしゃべりなのは、当たり前ですが、男性メンバーも、かなり口数が多いです。閉鎖空間では、口数が多いほうがみんな快適に過ごせるような気がします

まったく学術的ではない、私の独りよがりな感想でした。

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2014年1月1日、Crew132みんなそろって、GreenHabに野菜の種を植えました。

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日本のへしこもありました。3月にTeam Nipponが来た時には食べられるでしょうか。

 

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